1967年3月10日付けの赤旗紙に、善隣学生会館事件の続報とも言える記事が掲載されています。1面はほぼこの関係の記事で埋められています。2面には、この事件においてもっとも多く語られているエピソードのひとつについての「NI子さんの手記」が掲載されています。
2000年9月12日 猛獣文士


日中友好
協会本部
記者会見で凶器を公開

事件の真相、経過を説明
なおつづく干渉と暴力


 橋爪利次日中友好協会事務局長は九日六時同協会本部で記者会見をおこない、同協会の一貫した自主的な立場にたいし、「反中国」「ニセの日中」などの悪罵(ば)が加えられたうえ公然と暴力が加えられてきた経過を説明するとともに、在日華僑学生や対外盲従分子が日中友好協会を襲撃したさいに用いた凶器(二十数物件百数十点)をはじめて公開しました。


二日の襲撃の際、協会本部入口トビラを突き破るのに使った丸太棒、長さ十b余
長机などを解体した角材の束。かれらは、これをふるって襲いかかった
バリケードに使ったテーブル、角材、竹ざお、丸太棒、板など

 協会本部入口の“く”の字にねじれた鉄トビラ、先のとがった鉄棒、机などを解体した角材、鉄製の折りたたみイス、十メートル余の丸太棒、バケツなどの展示物を示しながら橋爪事務局長は、記者団にたいし@事件の場所が協会入口であることなど、だれが襲撃したかは明らかであることAこれらの暴行が「造反団ニュース」が示すように計画的におこなわれたことB八日にも会館横の公道で覆面の集団による協会員傷害、ら致がおこなわれるなど、暴力行為がつづいていることC事態はまず不法不当な干渉と暴行を加えた側が攻撃をやめれば即刻解決できることなどを明らかにしました。


覆面暴行で捜査要求 警視庁に協会
と支援団体

 日中友好協会と支援団体を代表して、日中友好協会の武井勝、天道正人両常任理事、田中三夫全国理事、国民救援会東京都本部長谷部利雄常任理事、民青都委員会小出敏世の各氏は共産党の山岸良一東京都義、小島法律事務所の岡田啓資弁護士とともに、九日、警視庁をおとずれ、金原忍警備課長にあい、八日夜、華僑学生と対外盲従分子が善隣学生会館で倉石中国語講座学生や民青同盟員をおそって暴力をくわえ同会館内の教室に原田宏威君(ニ七)を監禁した事件にたいする警察の態度を追及しました。

 代表は、昨夜の事件のさい善隣学生会館に警備にきていた警官は襲撃された原田君が負傷したまま倉石教室から出てくるのをみており、事件は現行犯に近い状況だったにもかかわらず、なんら捜査もおこなわず、かえって被害者の原田君に警察署に同行を求めて調べようとしたことに強く抗議し暴行犯人たちをただちに捜査するよう要求しました。


暴行直後にも直ちに抗議

左=スチール本棚をバラしてつくった鉄板、まさに殺人兵器。右=カシの棍棒。長さ約1b、握りのところに布をまいてツカがわりにしている

 九日午前一時四十分日中友好協会と支援共闘本部では川原崎、原田君らに加えられた暴行、傷害、拉致(らち)、不法監禁事件の犯人をただちに逮捕するよう会館警備本部で警視庁外事課海藤文雄警部補らに要求しました。

 この要求には高橋融、蓑輪弘隆両弁護士、日中友好協会武井勝常任理事、支援共闘現地本部沢崎郁夫代表、被害者の川原崎、原田両君らが参加しました。代表団は「加害者と思われるものは会館内にいる。協会にくる人が安心して道を歩けないような状態をなくせ。ただちに捜査し関係者を逮捕せよ」と被害者の診断書をそえて状況を説明し、さらに判明している加害者の特徴を明らかにして、すぐ活動をはじめることを要求しました。

 これにたいし海藤警部補らははじめ「この会議室で、すぐ被害者から事情聴取する」といいましたが、十分もたたないうちに、こんどは「富坂署で調べる」とかわり、代表団から「本当に事件をとりあげる気があるならば被害者の立場に立って、この会議室で弁護士立会いで、ただちにとりしらべろ」と追求されました。これにたいして海藤警部補らは「この会議室は警備本部になっていて人の出入がある」「電話がかかってくる」「事情聴取は本来署でおこなうものである」と言を左右にして、現実におこっている暴行、傷害、拉致、不法監禁事件を黙認する態度をとっています。

 代表団は三時すぎまでこのような警察の無責任な態度を追及し、ひきつづきこのような警察の態度に強い抗議をつづけました。


卑劣な挑戦必ず粉砕
覆面集団の
暴力事件で
民青都委が声明

 日本民主青年同盟東京都委員会は九日、八日夜に善隣学生会館付近で同盟の幹部の一人が覆面をした十数名の在日華僑学生、対外盲従分子らによって全治二週間の傷をうけたという暴力事件にたいし、抗議声明を発表しました。

 抗議声明(要旨)=二月二十八日夜から、「紅衛兵」方式を直輸入した在日華僑学生、対外盲従分子らの暴力団は、日中友好協会を支援する人たち十数名に暴行をはたらき傷をおわせている。このことは、首都の民主勢力とわが都同盟と青年にたいする凶暴な攻撃であり、日本人民と青年にたいする不当な干渉である。

 しかも、このような一連の暴力行為にたいして警察当局は具体策をまったく講じていない。暴行をくわえた犯人は、たとえ在日華僑学生であろうと日本国の法律によってきびしく処罰されるのが当然である。都同盟は、警察や関係当局がその責任を遂行し、しかるべき処置を追及するよう強く要求する。

 在日華僑らの行動は、たたかう日本人民と青年にたいする卑劣な挑発行為であり、ひとかけらの道理もない恥知らずの挑戦である。日本の領土で日本人民と青年に特定の国の思想をむりやり押しつけ、それに従わないと「反中国だ」「修正主義だ」よばわりすることがどうして真の日中友好といえるであろう。

 都同盟は、アメリカ帝国主義の侵略にたいして日夜英雄的にたたかっているベトナム人民と青年をかたときも忘れることなく最後まで互いに手をたずさえアジアの平和と祖国と青年の解放のためにどんな困難ものりこえ前進することを堅く決意することを声明する。


あす緊急県民集会
兵庫県
実行委
華僑学生らの暴力に抗議

 【神戸】安保破棄・諸要求貫徹兵庫県実行委員会は八日午後六時から神戸の兵庫県町村自治会館で幹部会をひらき、当面の闘争について討議し、@日中友好協会にたいする在日華僑学生と対外盲従分子の暴力行為に抗議し、同協会を支援し、真相を明らかにするために十一日午後、県実行委員会の主催で緊急の集会を開催するAこの真相を大量宣伝によって労働者、市民のなかに知らせるB十七日午後五時半から神戸市役所前で春闘勝利、地方自治体にたいする県民要求の実現、原子力空母入港反対、日中友好協会支援、民主的運動への在日華僑学生、対外盲従分子の干渉排除の兵庫県民決起集会を開催することに決めました。


県下で真相報告会や大量宣伝 日中友好
兵庫県連

 【神戸】日中友好協会兵庫県連合会は在日華僑学生と対外盲従分子の本部襲撃事件について三日夜、県連常任理事の一人を上京させ本部と都連を激励し、実際にみた襲撃事件の真相を翌四日ひらかれた緊急県連常務理事会に報告しました。この報告を基礎に県連は、在日華僑学生、対外盲従分子の暴力に断固抗議しデマを粉砕するための声明を採択し、ひろく全県下の広範な人びとに訴えること、各支部を中心に真相報告と大量宣伝をおこなうことをきめました。

 同県連はこの決定にもとづいて四日から連日、神戸、阪神間などの支部、各労組の職場をまわって真相を訴えています。


婦団連が現場調査

 日本婦人団体連合会(婦団連)の櫛田ふき会長、間島路子、林由子、脇本美枝子、大道俊の五氏は九日午後二時、日中友好協会本部をたずね、在日華僑学生と対外盲従分子らが日中友好協会に加えている暴行などの現場調査をおこないました。


暴 力
行為に
外国から資金援助
盲従分子、華僑学生らに

 八日午後六時ごろ日中友好協会本部に東京銀行外国為替係から電話で送金案内がありました。本部事務局員が応対にでると「お宅に中国紅十字会と人民救済会から千四百四十四ポンド(約百五十万円)はいりました」という話しでした。これは銀行が日中友好協会本部と脱走分子の事務所とまちがえて電話してきたものでした。

 つづいて、同日夜東京・新宿の厚生年金会館ホールでひらかれた対外盲従分子の「三・八国際婦人デー」の席上、国際貿促の森川忍は、日中友好協会本部を襲撃した華僑学生と盲従分子に中国から百五十万円の見舞金がきていると発表、かれらの暴力行為にたいして外国から軍資金の援助がきていることを公然と認めました。


“善隣学生会館には行っていない”
帆足代議士(社党)が共産党へ連絡

 五日付既報のとおり、日本共産党の山手叡統一戦線部副部長、松本善明代議士の両氏は三日午後、社会党本部に同党の山崎昇国民運動局長をたずね、日中友好協会本部にたいする在日華僑学生や対外盲従分子などの襲撃事件について申し入れ、同党の見解をもとめた際、山崎氏はこれにこたえて「社会党は日中運動について、どちらの立場を支援するという立場をとっていない。帆足計代議士は貿易関係の立場で、現場にいったという報告をうけているが、ほかには党の国会議員はいっていないはずだ」とのべました。この問題について九日、帆足計代議士から日本共産党中央委員会につぎの趣旨の電話連絡がありました。

 「『赤旗』に山崎国民運動局長の発言として私が善隣学生会館にいったとされているが、私はいっていない。自分としては、わざわざ困難を倍加するようなことはするつもりはない。こんご会館に貿易などのことでいくかもしれないが、困難を大きくするようなことはいっさいしないつもりだ」


 善隣学生会館内の日中友好協会本部事務所を襲撃した在日華僑学生と対外盲従分子は、いま「真相報告会」などと称して、自分たちのひきおこした事件を逆宣伝し、日本共産党への攻撃に狂気のようになっています▼たとえば八日には、東京・新宿の厚生年金会館の一室で、百五十人ほどの人数を集めて、「三・八国際婦人デー」と名づけた集会をひらき、これこそ規模は小さいがほんとうの唯一の国際婦人デーだなどとつよがってみせました▼しかし、この集会のなかみは、およそ国際婦人デーとは無縁なもので、日中友好協会襲撃事件をごまかして、「襲撃されたのはおれたちのほうだ」「おれたちはやむなく自衛の措置に出たのだ」と怒号し、日本共産党と日中友好協会を罵倒(ばとう)したものでした▼それどころか、この集まりをそのまま、このための「活動者会議」にしようと思ったが、それはちょっとむりらしいので、それはあらためてあすひらくことになったという主催者側の報告がある始末でした▼壇上にたった国際貿促の森川忍いわく「現在たたかいは対ジの状態にある。敵が攻撃すれば退く。敵が占拠していれば、まわりから包囲し大衆的力で敵を孤立させ、理事会などを通じて追い出させるようにしてせん滅する。敵が後退すれば追いつめて撃滅する」▼この森川のことばには、かれらの立場がきわめて端的にあらわれているではありませんか。こうして、かれらはこの集会でも「修正主義者ども」「排外主義者ども」などと連発していましたが、いったい修正主義とはなにか、排外主義とはなにか▼要するに外国の特定の指導者の言説にそっくりそのまま従わなければそれは修正主義であり、その特定の指導者を太陽として信仰の対象にしなければ、それはその国をはずかしめるものであり、排外主義だというのです▼かれらの立場にたてば、すべての概念も命題も、まったく世間には通用しない、かれら一流のものにつくりかえられてしまうのです。思えば狂信の世界とはおそろしいものです。

(赤旗1967年3月10日)

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